おいしい
「まずは…」ということで出していただいたのは不知火。デコポンと呼ばれる品種です。
旬は2〜3月。スーパーでもよく見かける馴染みの品種ですが、なんだかいつも見ているものよりずっと大きい気がします。
では、いっただっきまーす!
え?これデコポン?
すごくおいしくてビックリ。
味が濃くて、甘みもたっぷり。慣れていた味だけに衝撃です。
続いては…せとか、清見、はるか。どれも2月から3月。春に旬を迎える柑橘です。
最近スーパーなどで見かけることが多くなりました。
こちらは “せとか”。 見るからに瑞々しい!
食べてみると、これまた違った味わい。果汁がたっぷりあふれてきます。
味が濃くていろんな柑橘のいいとこどりをしているようなおいしさです。
“清見” はさわやか。さっぱりしていてドレッシングにしてもおいしそう。
“はるか” はとっても甘いグレープフルーツといった感じ。つぶつぶ感もいい感じ。
もう「おいしい」という言葉しか出てこないのがもどかしくて堪りません。
(どれもこれもこれまで食べたナンバー1!)
どれもこれも最高!
でも肝心なのは、皮ごとまるごと食べること。う〜ん、いけるかなぁ。
「え?皮まるごとですか?やってみたことはないから分からないですけど…。
やってみます?」
「これは無農薬で栽培しているので、ほこりや汚れを洗い流してもらえば皮ごと食べられますよ」ということで
事務所のキッチンで水洗いして、Let's Cook!
平野さんも興味津々。
皮ごとスムージーを作るらしい、と聞きつけた無茶々園の女性たちも見学にやってきました。
じーっと手元を見つめます。
ジャーン!
でも、あんなにぶ厚い皮、大丈夫かな〜。
あれ!意外とイケる!
もう少し果汁とヨーグルトを足せばもっと飲みやすくなりそう。
“せとか” でもやってみました。もちろん、これも成功。
「ハチミツとか入れてもおいしいかも!」女性たちからアドバイスも。
それにしても、とにかくおいしい柑橘たち。
春でもこんなにおいしい種類がたくさんあるなんてイメージありませんでした。
「そうですね、やはり冬がメインですが6月くらいまではいろいろとれるんです。でもその後は10月くらいまで何も収穫できません」
ところが、さすが日本一の柑橘大国、愛媛県。
その課題を乗り越えるべくある研究が無茶々園からすぐそばで行われているというので訪ねてみました。
ジャーン。その名も「みかん研究所」
れっきとした県の研究施設です。その歴史はなんと80年にもなるのだとか。
迎えてくださったのは中田所長です。よろしくお願いします!
あの〜、柑橘を年中食べられるようになる研究をしていると聞いたんですけど…
本当ですか?
「ははは。あのことですね。では、行きましょう」
といって連れてきてもらったのは、この、倉庫のような場所。
ここは一体?
「ここでは貯蔵実験をしているんです。収穫後の柑橘の、おいしさと外見を長期間維持するためどうしたらいいかという研究ですね」
冷蔵庫の中には袋に入った柑橘がズラリ。
「中国などに生息するカワラヨモギという植物がありまして。漢方なんかに使われるんですけどね。カビを防ぐ効果があるんです。それを柑橘に塗ると、鮮度保持に使えるんじゃないかと研究しています。 あと、この袋は微細な穴が空いているんです。なのでこれに入れていても果物は呼吸ができるんです」
「これは愛媛県の “紅まどんな” という品種です。すごく人気なんですけどね、11月末から12月末までしかとれない品種です。でもこの貯蔵方法なら今でもおいしく食べられるんです」
ということで、実際に食べさせてもらうことに。
東京の高級店では一個1,000円もするという “紅まどんな”。
今回は袋に入れて冷蔵したものと、入れずにそのまま冷蔵したものとの食べ比べです。
まずは、袋に入れず、ただ冷蔵していただけのものから。
お、お、おいしい〜。
限りなく房の皮が薄くてとろっとした食感があり、ジューシー!まさに天然のゼリーです!
こんなにおいしいとは!
「ははは。そうですか?でも本来のおいしさはこんなもんじゃないんですよ。旬の味を、さぁどうぞ」
と、言われても一抹の不安。だって、このおいしさを超えることなんてできるんでしょうか。
ところが…
あ〜、おいしい…! 全然違う。こちらの方が断然おいしい。
さわやかで、新鮮な果物が持つ力があります。
“そんな大げさな…” と取材班のメンバーから冷たい視線。
じゃあ、食べてごらんなさいな。 ほらほら。
“えええ!おいしい〜 全然違う〜!”
ほらね。貯蔵の仕方でこんなに違うとは驚きです。
中田所長も私たちの反応に満足げ。
「おいしいでしょう?これなんですよ。今は国内の消費が減少していますから、今後は海外にも目を向けようということで。輸出のときに鮮度を保持するための技術になると考えています」
実は愛媛にはまだまだおいしい新種の柑橘がたくさんあるそう。
しかし、それを実現するには気の遠くなるような、たゆまぬ努力がありました。
柑橘大国・愛媛を形作る壮大なストーリー。
いよいよ、足を踏み入れますぞ!
昭和8年に設置された試験場。温州みかんをはじめ愛媛県の柑橘類研究の中核施設。育種・栽培研究だけにとどまらず、新品種の開発も精力的に行う。
みかん研究所発祥の柑橘は、現在市場で高い評価を受けるなどまさにヒットメーカー。
愛媛県西予市明浜町狩浜の柑橘農家が中心の農家集団。
1974年に農業後継者の若者が15アールの伊予柑園を借り、無農薬・無化学肥料での栽培に挑んだことが起源。
現在約70の農家が参画し、全国に有機栽培・無農薬、減農薬にこだわった柑橘を届けている。
(写真提供:無茶々園)