仕組み
あま〜いニンジンをつくっている久松農園では週に2日、全国の消費者へ直接、野菜セットを送っています。
前日、もしくは当日の朝に収穫したものを箱詰めします。
久松農園を経営する久松達央さん。
大手企業に勤めていましたが、脱サラして農業に転身しました。
この季節の野菜は大きく、どうやって箱に納めようかと、四苦八苦の様子。
関東から近畿地方までを中心に500軒以上のお客さんに新鮮野菜を届けています。
次に案内してもらったのはキュウリ畑。率先して畑に乗り込んだIカメラマン。ところが…
「あの、見たことのないキュウリがあるんですけど。これ撮影してもいいキュウリですか?
ちょっとイボイボしてて…。大きくなりすぎたのかな」
確かに、スーパーで見かけるキュウリよりずっと大きくてイボイボしています…。
「ああ(笑)。これは四葉(スウヨウ)と言って、スーパーで売っているキュウリとは品種が違うんですよ。どうぞ食べ比べてみてください」と、久松さん。
実際に見慣れたキュウリと食べ比べてみると、四葉(スウヨウ)はイボイボとした見た目と違い、ジューシーでおいしい!
まるでスイカを食べているような感じです。不思議ですが、初めて食べるキュウリの味です。
「皮が薄くて歯切れが良くみずみずしい。けれど、しおれやすいんです」と久松さん。
そのため、スーパーなどの陳列には向かず、めっきり流通しなくなったといいます。
「でも、おいしいでしょ?僕らは家庭菜園の人が選ぶような品種を選んで育てているんです。
久松農園はおいしい野菜を作るけれど、栽培技術のレベルがすごく高いとか、そういうことではない。ただ、おいしい品種を選んでいる、ということなんです」
「おいしい品種を、おいしくなる時期に育てて、短時間で届けること。そこに力を注いでいます。その代わり、僕らのやり方は、効率は悪いんです。少量多品種ですから…。
大切なのは“棲み分け”だと思っています」
「1億人に届けるビジネスを組み立てなさい、と言われたら、僕らのビジネスではできない。
大規模に栽培し、安定的な値段で野菜を届ける農家さんも必要だし、僕らみたいな変わった農家がいてもいい。どっちが良いとか悪いではない、と僕は思っています。
選択肢が増えて、消費者の皆さんがもっともっと楽しく食と関われるようになったらいいですね」
ところで、「変わった農家」って?
続いては都会の生活をやめて農業へ転身した女子のヒミツへ進んでみましょう。
茨城県南部の土浦市で1999年から有機農業を営む。
年間50種類以上の野菜を消費者に直販。
昨年出版した『 キレイゴトぬきの農業論 』(久松達央・著)が話題となっている。
http://hisamatsufarm.com