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ジェラート楽しそうに食べる若者たち

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Episode2-2

 ヒミツの解明

人気のヒミツは
“ 不便さ ” にあり?

和歌山県紀美野町  宇城農園(農家のジェラテリア・キミノーカ) /  宇城哲志さん

畑を見渡す宇城哲志さん

ジェラート店を経営する宇城農園。
宇城さんは6年前、勤めていた証券会社を退職して実家へ戻り就農したそうです。
収穫する野菜のうち9割をレストランや小売店に直売し、残りの1割をジェラートに使っているといいます。

夏の新メニューに使う「トウモロコシ」の畑に連れて行ってもらいました。

ヤングコーンをもぎる宇城さん

この時期はまだヤングコーン。「ヤングコーンが成長するとトウモロコシになる」
…恥ずかしながら、そんなことも取材班は知りませんでした。

みずみずしいヤングコーンをほおばろうとする記者M

生でも食べられるそう。 早速、採りたてをいただきまーす! 「カシュ!」

ヤングコーンの甘さとおいしさに微笑む記者M

うわぁ〜、おいしい…

若い色みのシャキッとしたヤングコーン

甘くて、甘くて。
茎の部分や、ひげまでもがおいしいのには驚きでした。
宇城さんのお宅ではひげを天ぷらの衣にして食べたりもするのだとか。
宇城農園では、年間50種類におよぶ野菜を栽培。ご両親は果樹を栽培していて、おいしいジェラートの原料はふんだんにあります。

とはいえ、都会からも遠い農村にジェラート店を開業することに不安はなかったのでしょうか。
すると意外な答えが返ってきました。

紀美野町の雄大な自然を背に立つ宇城さん

「ジェラート店なら遠い方がいいと思っていたんです。わざわざ出かけないといけないような不便な場所に」 なんと成功の秘訣は『遠くて不便な立地』にあるというのです。

「便利なところに作ると、ありがたみがないでしょ?
国道から1時間。急カーブを曲がって細い道を通ってやっと着く。
 “わぁ、やっと着いた!” といって、それだけでテンションがあがるんです。なかには辿り着けない人もいるけど、その経験も友達の間で盛り上がりますよね? “わざわざ行ったのに着けなかった〜、ジェラート食べたかったのに!” って」

店内でジェラートを手にする林さんとお会計をする岩崎さん

確かに、先ほど来店していた若者も同じようなことを言っていました。
林宏司さん(右)と岩崎淳さん(左奥)は、メルボルンで出会ったという2人。
今度はパリに留学するという岩崎さん。日本での短い日々を楽しもうと、林さんが選んだのがキミノーカまでのドライブでした。

お店のテラスでジェラートを食べる2人の若者

「こんなところにジェラート屋さんなんてないでしょ?地元ですが、ここまで来る道もきれいで癒されました」と林さん。
「途中の川にこんな大きな魚もいたね!」と岩崎さん。
「日本を離れる前に良い思い出になりました」とにっこり。

大自然に向かって設置されているベンチでジェラートを食べるカップル

「遠くて不便なところにあるからこそ、ジェラートはただの商品じゃなくて、“ジェラートを食べに行く”というイベントになるんです」と宇城さん。
キミノーカがこれまでにかけた宣伝費は、なんとわずか3万円。口コミで広がり、休日ともなると多くの客でにぎわいます。
「わかりにくい場所にあるから、着いたときにテンションあがりますよね。皆さん、その勢いでフェイスブックなんかに “着いたよ!” とあげてくれる。
やっと食べられるからジェラートも “おいしかった!” と喜んでくださります。

人気のヒミツは、まさに “不便さ” にあり!

さて、こうした農業などの一次産業が、商品を加工し、さらに販売まですることを「六次産業」といいます。
なぜ、宇城さんは六次産業に乗り出したのか。

さらにさらに深い話が待っています。

キミノーカ

和歌山県の紀美野町にある宇城農園のオーナー、宇城哲志さんが2013年の春にはじめたジェラート店。
採れたての野菜や果物をふんだんに使った四季折々に変化するジェラートが人気。
シングル 340円、  ダブル 380円。

和歌山県海草群 紀美野町 三尾川 785–3
Open 10:00〜17:00
http://kiminoka.com

おいしいのヒミツ