六次産業化
宇城さんがジェラート店を始めるきっかけはなんだったのでしょうか。
たずねてみると「う〜ん…」としばし黙り込み、そして…
「究極のところは、ここで育つ子供たちのため。かもしれない」
宇城家の一番下のおひめさま・摩耶ちゃんはジェラートが大好き!
宇城さんが脱サラして紀美野町に戻ってきたのは6年前。
「家族が食べる分だけだったら野菜を作っているだけでもなんとかなるけど、それだけやってたら町もなくなるんで…自分も食べられなくなるよな、って思いはじめて。
この辺は山だけあって、過疎化がひどいんですよ」
「消える市町村」が話題となったのは5月のこと。
有識者団体が発表した「消滅可能性都市」に、和歌山県・紀美野町も入っていました。
2014年5月末の人口は9965人。1万人を切っています。
「この問題は自分が野菜を作って売っているだけでは、どうも解消できそうもないな、というのがあったんです。
野菜の生産って手間がかかるというか、人を育てるのも難しいんです。とくにうちは少量多品種なので覚えることもいっぱいある。人を雇ってその人ができるようになるまで雇用を続けるのは難しい。経営的にね」
もんもんとしていた時、たまたまジェラート機械のデモを見る機会に恵まれた宇城さん。
「これは、できるかも、と思った。 そこから本格的に検討に入ったんです」
いま、お店で働いているスタッフは4人。みんな地元の女性です。
さらに、7月からは町の外から引っ越してくる人を新たに雇用するといいます。過疎地の雇用問題の解決に早くも一歩、踏み込むことができました。
作物を作る一次産業。それを加工する二次産業。そして販売する三次産業。
すべてこなす、このキミノーカのような経営形態を六次産業といいます(1x2x3=6)
国も推進していますが、成功するのは簡単ではありません。
なぜなのでしょうか。
8月からメニューに加わるカボチャ
「農家というのは、値段はどうあれ“作ったら売れる”という感覚の人も少なくない。そういう仕組みになっているんです。けれど六次産業となると、一般消費者が相手になるので全く売れないという想定もいるわけですよね。
その意識改革がまず難しいんです」
宇城さんは、キミノーカ開業にあたり土地のもつ強みや価格の設定など考え抜いたといいます。
「家族三人なら1000円ちょっとでドライブ付きのイベントが楽しめる。
それだけじゃなくて地元でリピートしてくれるお客さまにも愛される価格がいくらか、と考えました」
「食というのはすごく大きな産業。農家からのアプローチが何かしらできると思っています」と微笑む宇城さん。限界集落と呼ばれるその現場で若手農家による再生への挑戦が始まっていました。
続いては、宇城さんの「農家ブランディング」考察。こちらも必見です!
和歌山県の紀美野町にある宇城農園のオーナー、宇城哲志さんが2013年の春にはじめたジェラート店。
採れたての野菜や果物をふんだんに使った四季折々に変化するジェラートが人気。
シングル 340円、 ダブル 380円。
和歌山県海草群 紀美野町 三尾川 785–3
Open 10:00〜17:00
http://kiminoka.com