ヒミツの解明
同じ平良地区の海岸沿いにはカナンファームが作る食材をメインにしたカフェ、カナンスローファームがあります。
ナイスカップルのお二人!
オーナーは依田さんの奥さんの英恵さん。
宿泊もできるので、今日はここにお世話になります。
このカナンスローファームの人気者が、こちら。
看板犬ならぬ、看板“豚”のカイ君です。
あぐー系の交配豚のカイ君。食欲は旺盛で、なんでも食べます。
取材班が先ほどいただいた塩パインの皮もむしゃむしゃ。
聞くと、カイ君の大好物なんだそう。
塩パインアイス300円・まるでチーズのような濃厚さと塩味が絶品!
「カイ君がなんでも食べてくれるので、うちのカフェの生ゴミはゼロなんです」と英恵さん。
え、ゼロ!? 「はい、ゼロ」
本当にゼロ? 「はい、本当に、ゼロです」
しつこいくらい確認してしまいました。
「カイ君は生ゴミを食べてくれるだけじゃなくて、いい肥料もつくってくれます。カイ君は、糞と土と落葉を自分で混ぜて、いい土になったところで、鼻でこうして外に出すんです。
この、土を鼻で掘り返す習性を“鼻耕(びこう)”というんですよ」
へ〜!
カナンファームでは豚の牧場もあるというので、再び夫の啓示さんに連れて行ってもらうことに。牧場にはどんなヒミツがあるのでしょうか。
カフェから車で5分…。想像以上に広い牧場に到着しました。
800坪の土地に約120頭のあぐー系交配種などが養豚されています。
「あぐー系の豚は“ラードタイプ”と呼ばれていて、赤身のお肉を目的とした豚と大きく違うんですよ」
「赤肉率の高い豚は、生まれて半年で115キロ程度に育ち出荷されるんですが、ラードタイプの豚は生育が遅く、うちでは大体1年半から2年かかります。
そのかわり、脂身はとても甘いし、融点が低いので口の中に入れるとさっぱりと溶けて、おいしいんですよ」
啓示さんが牧場を作ったのは6年前。なぜ、養豚を始めようと思ったのでしょうか。
「野菜やパイナップルを育てていると、必ず不良品というのが出てくるんですね。虫にやられたり、見かけが悪いとか。
不良品は全体の2割から4割です。パイナップルだと10トンは作るので、少なくとも2トンはゴミになる。
もったいないな、と思ったところから始まったんです」
牧場の豚の餌は、売れない野菜や果物、さらに地元のホテルやレストランなどの“食品残さ”などです。それらに、米ぬかやオリオンビールのビール粕、泡盛粕などをブレンドしてオリジナルの発酵飼料を作っています。
匂いをかがせてもらうと、ほのかに甘い香り。嫌な臭いはしません。
「最近は近所の農家さんもパイナップルをくれます。新規就農でこの土地にやってきたので、うれしいですね」
さらに、養豚は「もったいなさ」を解消するだけでなく、パイナップルにもおいしいお返しをしてくれるといいます。
「沖縄は台風が多いので、電線を切らないように森の木を伐採したりもするのですが、その時に出る木の皮を中心とした木材チップです。
木の皮は再利用がむずかしい箇所なのですが、これを豚舎の中に入れると、カイ君のように豚たちが勝手に肥料にしてくれるんです」
「木の皮は分解されにくいので、畑に入れても、とても もち がいいんです。
パイナップルを植える間の土に1回混ぜてやると、1年から2年はもちます。
すごくいい堆肥なんですよ」
おいしいパイナップルを私たちが食べて、その残りを豚が食べ、そしてその豚がおいしいパイナップルを作る。
このシステムを依田さんは「循環農業」と呼びます。
すべてが巡り巡って、おいしさが生まれていたのです。
続いては、循環型農業が作る、極上ディナー!
一面に広がる満天の星空の撮影に成功しました。
沖縄県国頭郡東村平良にある
農場とカフェ、そして宿泊施設。
オーナーの依田夫妻が循環農業を提唱し、実践。
農園見学ツアーや農業体験ツアーも。
カフェ 11:30〜18:00(木曜定休)
ディナー・宿泊 … 前日までの予約制
http://www.canaan-farm.com